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【2025年05月05日13:30 】 |
雪灯(ゆきあかり)
ヒアシッ娘倶楽部の冬企画へ献上する為、日向の双子話しなど少々…
ご興味のある方のみどうぞ~
新年を迎えて初めての積雪。
今朝方からチラチラと降り始めた雪は、正午過ぎにも止まず…しまいには、横殴りに吹く真っ白な猛吹雪となって、外の景色を閉ざしてしまっていた。

「とうとう吹雪たな…」

天候の変化を読み取ろうと、窓の外を眺めていたヒアシは、軽く眉を潜めて呟いた。

「さて、どうするヒザシ?このまま稽古を続けるか。それとも一旦、母屋へ避難しておくか?」

ヒアシは、からかうように背後を振り向く。
振り返った視線の先には、ヒアシと瓜二つの顔を持つ弟・ヒザシが、肩をすくめて小さなため息を漏らしていた。

「だから、もっと早くに道場をでましょうとアレだけ申し上げていたのに…、お聞きにならなかったのは、ヒアシ様ですよ」

ヒザシは、優美な眉を潜めて、心持ちこの状況を面白がっている兄の発言を咎めるように眼をすがめてヒアシを見返した。

「そうか?ヒザシもまだ汗を流したりないと言っていただろう。鍛練に夢中になっていたのはお互い様だ」

珍しく機嫌良さげな表情で目元を緩めたヒアシは、見識的な弟の指摘を軽く苦笑してかわした。

「それよりもだ。こうまで吹雪いている中を走っていくか、昼飯抜きを覚悟して小降りになるまで待つか…だが、どうするヒザシ?」

弟の意見を促すヒアシの言葉に、ヒザシは、困った様に眼を伏せた。

「ヒアシ様が、雪の中出られて濡れてはいけませんから…私が一足駆けて屋敷から、何かお食事をお運びしましょう」

普段ヒアシが居住する母屋と、今自分達が雪の中孤立している道場までの道のりは、警備上の理由から少々入りくんで造られていた。
とはいえ同じ日向の屋敷内。
距離として、そう遠く離れているわけではない。
ヒザシは、己の分をわきまえた態度で、静かにヒアシへ申し出た。

「ふん。それでは、お前が二度も濡れる羽目になるだろうが…。もう飯はいい…一食抜いた所で、空腹を辛抱できぬわけでもあるまい」

先刻までの上機嫌が一変して、唐突に表情をピシリと固めたヒアシは、怒ったようにヒザシを睨むと、フイと背を向けてしまった。

「ヒアシ様?」

ヒザシは、ヒアシが不機嫌になる訳も分からず、困惑した声でそっと兄の様子を窺った。

「つまらんな。宗家と分家に別れた途端に、へりくだった物言いばかりするお前の態度が気にくわん。この吹雪だ。夜まで止まんだろう。一緒に行けば簡単にすむものを…どうしてそう頭の固い答えしか出さんのだ」

ヒアシは、どこか拗ねたような口調で文句を吐き捨てると、フンと高慢に鼻を鳴らして口を噤んだ。
その物言いに、ヒアシの寂しげな気配を察したヒザシは、戸惑ったように言葉を詰らせた。

稀有な一卵性の双子の兄弟として誕生したヒアシとヒザシ。
日向の古くからの因習に従い、長兄は、次期当主として育てられ、双子の片割れであるはずの次男は、宗家に生まれながらも、呪印を刻まれ分家へと落とされた。

ヒザシが呪印を刻まれるまではよかった…幼い時分までは…。
だが、今その白い額には、禍々しいほど美しい印が刻み込まれ、呪わしい日向の掟に縛られた。

そう…新しい年を迎えて間もなくの、喜ばしいはずの二人の誕生を祝うはずの日に…。
もう昔のようには戻れない。




とりあえず、ここで切ります~続きを完成させたらば、倶楽部へ献上しますv
携帯で打ってたら、文章消去しちゃってビビッタ…まじ、消えたかと(汗)
雪が降ってて寒くてもうパソコン打つの手が限界でぷ。
ごめんなさい~


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【2008年01月29日12:33 】 | 日向小話 | コメント(0) | トラックバック()
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