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【2025年05月05日09:38 】 |
ヒアシ事件簿⑤
昨日は結局、書きたかったオチまで辿りつけなかった…ので、うーたんがじぃじと部屋掃除に興じている隙に、今度こそ完結するように書いてみたいと思います。くそう…昨日のは一回書いたの寝惚けて全文消して書き直したから、携帯のボタン押す親指の腹が擦れてイタイよ(涙)
「…ハナビ…」

静かな、静かな声が、ハナビの名を呼んだ。

「ご、ごめんなさい! 姉上! で、でも父上は、今は落ち着いていらっしゃいますし、もう大丈夫ですから」

ビビクンッと背筋を震わせつつ、果敢に姉の顔を見つめたハナビは、次の瞬間ヒッ…と情けない声で悲鳴を漏らした。

「チョコレートの焦げた匂いがした時から、なんとなく予想はしていました。そう…お父様は、この甘い匂いに中てられて倒れられたのね?」

「は、はい。そうです。ハナビのチョコを試食してる間は、お元気だったのに急に苦しみだして、それで、ハナビはビックリしてしまって…」

ハナビは、シュンと肩を落として項垂れた。

「でもね…ハナビ。出かける前に、ハナビには言ってたおいたよね? バレンタイン時期のチョコレート菓子作りは、材料を集めるの大変だから、後で一緒に作ろうって…。それに、今しか発売されない限定チョコケーキ…」

いつになく饒舌なヒナタは、淡々とハナビへ話しかけ、ついでフウッと力の抜けたため息を洩らした。

「私が、自分のご褒美に買っておいたの…帰ったら皆で食べるのを凄く楽しみにしていたの…知ってるよね?」

静かな声だった。
だがヒナタの目は、明らかに怒っていた。

「そ、それは…父上が…」

ヒナタの反応を薄々予想していたのか、ハナビは、慌てて弁解をしようと姉の顔を見上げ…ついで、ウッと言葉を詰らせた。

「お父様が?」

「ヒナタ様、何事もなかったのなら、よかったではないですか。ヒアシ様が倒れられたと聞いた時は、心臓が止まるかと思いましたよ」

心底ヒアシの身を心配して、家まで駆けてきたヒナタの気持ちを思って、ネジがなだめるように姉妹の仲裁に入ろうとした。

「…ネジ兄さんは、黙っていて下さい。ハナビ、お父様はどちらです?」

ヒナタは、ピシリとネジの言葉をはねのけると、首をすくめているハナビを厳しい視線で見つめた。

「父上は、お部屋で横になってます…ハナビの作ったチョコを食べ過ぎて、胸焼けと腹痛をおこされたみたいで…」

ハナビは、シュンとうなだれて、もう一度ゴメンナサイとヒナタに謝った。

「分かりました。お父様に直接お伺いします…」

三人は重い空気を纏ったまま、幾分顔色の青ざめた宗家当主と対面した。

「只今、戻りました。お父様…おかげんが悪いと聞きましたが」

ヒナタがゆったりと父親へ問いかけた。

「うむ。すまなかったな。たいした事はなかったのだが、ハナビも少々慌ててしまったようだ」

ヒアシは、娘の手作りチョコをつい食べ過ぎて倒れたのだと苦笑した。

「普段食べ慣れない物だったが、折角ヒナタやハナビが用意してくれたと思ったら、ついな…なんと言ったか。そうそう、バレンタインと言うらしいな。最初に食べたあの濃厚なチョコレートのケーキは美味だったぞ。ヒナタの手作りか? ハナビも頑張って作ってくれたが、まだまだ修行が足りんな」

ニコニコと嬉しそうに語るヒアシは、気付いていなかった…。

ソレが、ヒナタが自分自身へのご褒美に用意していた品で、家族揃って食べようと楽しみにしていた期間限定のスぺシャルなチョコレートケーキだったとは。
そして、その事実を知ってハナビが必死になって限定チョコの代わりになる品を作っていた事に…。

悪意があっての事ではないのは理解できる。
むしろ、ヒナタへの気遣いさえ感じられる事なのも分かっている。

ヒアシは、ただ娘からのチョコレートを喜んで食べただけだったのだ…。
そして、ハナビは、ただひたすらに、父親の勘違いで食べてしまったチョコの埋め合わせをしようと、任務で疲れて帰ってくる姉の負担を減らそうと、皆に配る義理チョコ用の菓子作りに挑戦してみたのだが…。

二人の好意に気づいてしまえば、それ以上怒る気力も萎えてしまう。
ああ…今年のバレンタインデーは、手作りのチョコレートを配るどころか、台所の大掃除で終ってしまいそうだ…。

ヒナタは、ただ寂しげな溜息を吐いて、そっと家族へ呟いた。

「いいよ…もう…」



※で、こういうオチなんですが、自分へのバレンタインプレゼントだと勘違いしたヒアシ様が、ヒナタ様のお気に入りのチョコレートケーキを食べてしまい、それに気づいたハナビが、慌てて慣れないお菓子作りをしてチョコレートの材料をダメにしてしまう…というのが書きたかっただけなんです。
こうあらすじ書くと、すげ~短い内容だなオイ(汗)
まあ、ヒナタ様の怒る顔とか、脱力する様子が書いてみたかったのもあります。
ネジの出番の意味はあまりないです。
たぶん、バレンタインデーにはお菓子を作る材料が少なくて、ネジも貰えない事でしょう。
そして、キバとシノと赤丸とネジには、確実に恨まれるヒアシたま…。

そんな渋可愛いヒアシ様が、愛しいです。
次回は、おいなりさ…

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【2008年02月19日10:42 】 | 日向小話 | コメント(0) | トラックバック()
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